第73回 カロテンたっぷりのズッキーニの花を食べる

  • 記事:加藤 麗

モッツァレラチーズとアンチョビを詰めたフリット(揚げ物)をはじめ、パスタやリゾット、サラダなど、さまざまに活用される

 ズッキーニは緑色で細長の形状がポピュラーですが、まん丸な球体や、お饅頭を潰した様な形、濃い緑色、黄色、薄い黄緑色、縞模様、真っ白など、品種、形状はさまざまです。

 しばしばその形状から、キュウリの仲間と勘違いされがちですが、同じウリ科でもズッキーニはカボチャ属の野菜です。そしてそれらの大きな違いは育ち方です。

 単為結果性(たんいけっかせい)と呼ばれる、キュウリ等の種類の植物は、受粉を必要とせず、花をつけるとそのまま実がなりますが、ズッキーニやカボチャの類には、雄花と雌花が存在し、この両者が同時期に開花し、蜂などによって受粉されることで、はじめて実が成長します。

 長い葉柄に支えられた、大きな葉を持つズッキーニ。花梗(かこう)と呼ばれる茎に単体で花だけを咲かせる雄花と、花の根元に既に小さな果実が存在する雌花があり、雌花は受粉後、実の部分がたちまち成長し、一週間もしないうちに熟していきます。

 若い未熟なズッキーニが好まれるイタリアでは、まだ若干花が残った状態で販売されています。

 この時期、イタリアのメルカート(市場)や八百屋さんでは、箱にきれいに並べられたズッキーニの花やカボチャの花をよく見かけます。大量に並んだそれらが、結構な安価で売られているのを見かけた時、ズッキーニの実になるものを早々と摘み取ってしまうだなんて、「なんだかもったいない」。そんな風に思ったものです。しかし、よくよく話を聞いてみると、特にシーズンの始めは、苗木を疲れさせないために、わざと花を摘み取るのだそう(摘花)。ズッキーニの花やカボチャの花を店頭で見かけても、逆に捨てずに美味しくいただけることを喜ぶべきだと聞き納得しました。

 余談ですが、日本でも飲食店用の業務用食材として、ズッキーニの花が出回っていますが、こちらは貴重品感がかなりあり、お値段もイタリアに比べたら10倍近く。来日間もない友人のイタリア人シェフが驚いて、わざわざ連絡をしてきたほどです。

 90%が水分の花は、ビタミンとミネラル類を豊富に含んでおり、さらにオレンジ色の食品の特性でもある、抗酸化力や抗癌作用を持つ、カロテンの豊富さでも知られます。

加藤 麗 かとう・うらら(旧姓 大庭)

加藤麗東京都生まれ。2001年渡伊。I.C.I.F(外国人の料理人のためのイタリア料理研修機関)にてディプロマ取得。イタリア北部、南部のミシュラン1つ星リストランテ、イタリア中部のミシュラン2つ星リストランテにて修業。05年帰国。06年より吉祥寺にて『イル・クッキアイオ イタリア料理教室』を主宰。イタリア伝統料理を中心に、イタリアらしい現地の味を忠実に再現した料理を提案し、好評を博している。

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