選挙管理委員会事務局長 桃原 慎一郎氏

  • 聞き手:平田 邦彦

 東京都の各局が行っている事業を局長自らが紹介する「局長に聞く」。今回は選挙管理委員会事務局長の桃原慎一郎氏。18日に告示された東京都知事選における新型コロナウイルス感染症対策、投票率上昇に向けた今後の取り組みなどについてお話を伺った。

感染症対策を講じ選挙を執行

選挙管理委員会事務局長 桃原慎一郎氏

目黒区長選がひとつのモデルに

—就任直後に新型コロナウイルス感染症の緊急事態宣言が発令される事態となりました。

 東京都は感染者数が全国で最も多く、感染拡大防止のため、外出自粛や施設の休業要請など、都民の皆さんに多くのご協力をいただいております。

 5月25日に緊急事態宣言は解除され、今後は社会経済活動の段階的な再開が課題となっていますが、一方で再度の感染拡大を招かないため、予断を許さない状況が続いていると認識しています。

 選挙管理委員会事務局としても、引き続き、テレワークや時差出勤など、全庁としての取組を実施しているほか、委員会の運営においても、感染拡大防止のため、マスク着用や出席者の抑制、ソーシャルディスタンスの確保など、可能な限りの方策を講じています。

—選挙への影響も大きいのではないですか。

 すでに総務省から選挙の執行にあたり、6度にわたって通知が発出されています。

 具体的には、選挙事務におけるマスク着用、咳エチケットの徹底、手洗い・うがいの励行、期日前投票の積極的な呼びかけの検討などです。通知の内容については、区市町村選管に周知して、徹底を図っています。

 区市町村選管からは、感染予防策に要する費用の措置等の要望が多く寄せられているほか、三密回避のため開票所の人員を絞ることから、通常より開票に時間を要するといった影響が指摘されています。

—緊急事態宣言発令後に、目黒区長選挙と福生市長選挙が行われました。

 4月19日に行われた目黒区長選挙では、現在私たちができる感染予防策のほぼ全てが行われたという点で、今後の選挙執行の一つのモデルになったと思います。4月26日に行われた福生市長選挙でも、同様の対応が取られました。

 私は目黒区長選挙の投開票を視察しましたが、非常に緊張感をもって運営されていたところが印象的でした。そのため、特に大きな混乱もなく執行されたのではないかと思います。

—6月18日告示、7月5日投開票の都知事選挙では、どのような点に気を付けていきますか。

 都知事選挙は、東京都選挙管理委員会が執行しますが、投開票は区市町村の選挙管理委員会が行います。有権者や投開票事務従事者の安全を確保するため、区市町村選管と緊密に連携しながら準備を進めております。

 すでに区市町村選管からはマスクや消毒液の調達について協力依頼があり、都選管が調達先をあっせんすることにより、必要数の調達に目途をつけました。

 また、区市町村選管がこれらの物資の調達に必要とする経費について措置すべく、補正予算案に計上したところです。

 さらに、投開票事務における感染予防策の確実な実施や、有権者への協力の呼びかけ等、投開票事務の運営や都民対応のガイドラインを現在策定しており、完成次第、区市町村選管にお示しする予定です。

 投票当日の混雑を回避するために、期日前投票の活用も呼びかけています。今後、開設する特設サイトでは、過去の選挙における各期日前投票所の日ごとの来場者数の情報を掲載することで、いわゆる三密を避けた投票の参考にしていただけるようにします。

投票率向上のための啓発を

—来年度は都議会議員選挙があるほか、衆議院議員選挙も視野に入ってきているのでは。

 都議会議員選挙は、延期された東京オリンピック・パラリンピック直前の実施が予定されているため、区市町村選管とより一層連携して、滞りなく準備を進めていくことが大切です。

 また、衆議院議員は来年10月に任期満了を迎えることから、おっしゃるようにいつ解散してもおかしくない状況です。いつ選挙を迎えてもいいように、緊張感をもって準備を進めたいと思います。

—これからの都選管の課題は何でしょう。

 今回の新型コロナウイルス感染症のように、思いがけない事態が社会経済に大きな打撃をもたらし、選挙にも大きな影響を及ぼすことが明らかとなりました。

 こうした事態を予測することは困難ですが、発生したときの影響を最小限に食い止めるために国や区市町村選管等と連携し、できることを迅速に取り組むという姿勢が大切だと、今回、改めて感じました。

 一方で、若年層の投票率は低い状態が継続しており、粘り強い啓発が必要と認識しています。

 長期休校により学校を通じた啓発活動が困難になるなど、従来にない制約が生じていますが、引き続き選挙を通じた社会参加の大切さを呼びかけていきたいと思います。

 今後とも、予定されている選挙の執行と、投票率向上に向けた啓発に、職員一同、引き続き職務遂行に励んでまいります。

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