トップに必要な言葉とは

  • 記事:平田 邦彦

組織を動かし、人材を育てる為に

 圧倒的な大差をもって再選を果たされた小池知事には素直に祝福の言葉を差し上げたいと思う。それだけ多くの人々の共感を得て、支持を集めた結果だが、一部のマスコミでは喧しい小池批判が報道され、資質を疑う論調が見られる。

 都政を身近に立って見続けている身としては真に都民の為を思い、この先に起こるかもしれない難局に対応できるような施策の立案、遂行を願って止まないが、これまでの知事の業績を見る限り、聊か心もとない印象を拭えず、あえて直言を今回は許していただこう。

 かねて先代のキヤノン株式会社の御手洗社長は、トップたるもの使ってよい言葉は「やれ、待て、駄目」の三語だけとの言葉を残されていると聞く。上程される議案に対して、前に進むは「やれ」。考えが足りないと思えば「待て」、原案では無理、掘り下げが足りなければ「駄目」と言い、細かい私見を言い添える必要はないとしている。誠にもって名言で、駄目を出されても立案者に情熱があれば提案を見直し、再提示して来ることを期待した。

 知事ご就任以来、何かとマスコミに登場され、さまざまな所見を述べられてきたが、殊にこの選挙戦のさなかにも、ご自身で記者会見なりぶら下がりに応じて所見を表明されていたが、不肖小筆には選挙活動にしか見えなかったのは斜視が過ぎるのだろうか。

 当該部局の局長なり、副知事に任せて済む話まで自身で語られるお姿には疑問を感ぜざるを得なかった。何事にもトップが表に出るのは、手法として否定はしないが、知事の役割としては、部下を育て優れた提案を企画立案させることとすれば、その部分で抜かっておられてはいないだろうか。

 知事の役割は都政の進むべき方向性を示し、都政運営の哲学を持たれることで、些末な事象に至るまで自らの口でお伝えになることではない。

 空前の得票を得られて再任された今、改めて公約された政策の実現に邁進し、標榜されるような都民ファーストの施策の遂行に注力していただきたい。

 都政の詳細もお分かりにならないままに当選された前回とは異なり、既に4年の実戦経験をお持ちなのであるから、実現可能にして真に都民の為になるかの検証をしていただきたい。

 少なくとも思いつきに過ぎないと思われた前回の公約に拘ることなく、地に足を付けた政策の実現を大いに期待する。タックスペイヤーたる都民が求めるものは、あなたに委ねてよかったと思える都政運営が行われることなのだ。

 猟官活動で知事にすり寄る耳に心地良い言葉に惑わされることなく、それが実現した暁には名君と称えられることにもなろうし、世界に誇れる東京が現出すると信じたい。

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