緊急事態宣言を受け止める

  • 記事:平田 邦彦

緊張感に欠けてはいないのか

 首都圏1都3県に引き続き7府県に緊急事態宣言が出されたが、前回の手探り状態だったのに比べて、少しばかり知見を増した今、どうも緊張感が少ないという印象を受ける。

 発令の遅さを指摘する声がある一方で、庶民感覚としてはテレワーク、在宅勤務に違和感を少なくし、自分は努力し、十分注意しているから、マイペースは崩さないとの意見もある。

 いわば半可通な知識をベースに、コロナ慣れが生じて、なめてかかっている部分がありはしないだろうか。

 政府は規制を強化し、違反者に対しての罰則も次第に強めてきてはいるが、自分は従っている、これ以上何をすればいいのかわからないとの意見も聞く。

 ほぼ1年を経過したこのコロナ騒動は、変種ウイルスの登場を見て、なお一層先行きが見えない様相を呈していることをもっと強く認識しよう。

 およそ百年前に発生したスペイン風のパンデミックは、2年後の死者が発生時を上回ったという歴史がある。人類の歴史はウイルスとの戦いに彩られている。今回は異例の速さでワクチンが開発され、徐々にではあるが配布が行われ、わが国でも2月中にはスタートすると聞くが、それに安堵してはならない。

 一部には副反応を恐れて自分は接種しないとのアンケート回答も見られる。それも理解できなくはないが、目下の頼みはワクチンしかない。

 それと日ごろの生活態度を改め、徹底した感染防止を心がけるしかない。

 このコロナ禍によるさまざまな対策は、我々の将来に対する投資であるとともに、未来への借金なのだ。次世代に受け継いでもらう負担をできるだけ少なくするには、現在の対応を厳しく検証し、思い切った施策によって厳しく対応することが必要だと強く認識しようではないか。

 人類がこの戦いに勝利することは明らかだと信ずるが、座して得られる勝利ではない。

 一人一人の自覚をもっと強くし、それを実践することによってしか得られないと考えなければならない。

 多人数での会食を控えるようにとの指示を、選良たる国会議員自身が無思慮に踏み越えたりもしている。

 無症状の保菌者が感染を強める、厄介な性質を持つこのウイルスに対抗するには、専門家が推奨するガイドラインに沿って、その実践に一人一人が緊張感をもって従うしかないのだ。

 行政を攻め、上げへつらうことで問題は解決しない。個人個人の意識を高め、強い自覚をもって対処する必要があることを、改めて共有しようではないか。我々はまだ戦いの半ばでしかないと改めて思う次第だ。

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