コロナ2年の変容を考える

  • 記事:平田 邦彦

全ての軸が動き出した

 横浜港に寄港したダイヤモンド・プリンセス号でコロナ・クラスターが発生して以来、世の中は大きく変わった。

 14か月経った現在も依然として感染者数に衰えは見えないし、ようやく始まったワクチン接種も、全国民が2回の接種を終えるのにまだまだ月日を要するようだ。

 社会は大きな変容を見せて、在宅ワークの定着により、住宅を遠隔地に求める動きまで出て、これまで不況に苦しんできたリゾート地が脚光を浴びたり、会社そのものを地方に移転する動きやら、人数分の机を持たないオフィスが次々現れたりで、業容の変化は様々になっている。

 よく考えてみると、それらは平面の軸移動なのだが、それはこの先、三次元の軸移動を生む兆しにはならないだろうか。すなわち時間軸そのものが定位置を持たない、そんな社会が到来すると思われる。

 科学技術の発展は目覚ましいものがあって、紙に依存した仕事の進め方は、もはや前時代の遺産となりつつあって、ペーパーレスは当たり前。パソコン1台持ち歩けばどこにいても仕事ができる時代に移行している。膨大な資料は、クラウドにしまい込まれ、古いファイルをめくった時代は終わりを告げようとしている。

 オフィスの大きなスペースを占拠していたキャビネットは不要のものとなり、個人に与えられていた引き出しも取り上げられてしまった。

 その上フレックスタイムの勤務形態はもっと進んで、在宅ともなれば、画面上はネクタイを締めた姿だが、下半身はパジャマのままなんてことも珍しくはない。

 それがさらに進捗してゆくと、国内にいることに拘るものではないから、世界のどこにいてもいいわけで、そうなると時間軸そのものの変容が始まる。

 かつて外国の設計事務所に仕事を依頼したことがあったが、こちらの仕事終わりに出した新たなオーダーが、翌朝早くに応えられて、極めてスムーズに仕事が進んだことがあった。

 その時に感じた時間軸の多様化による効率の良さが、この先は常態となる可能性がある。これはいわば三次元の軸移動と考えて良いのではないだろうか。

 都庁の巨大な建物は前時代の遺跡となり、都庁そのものが、世界の各地に点在し、時間軸の有効活用によって今より遥かに効率の良い作業が行われる可能性が見えてきている。

 個人個人の就業時間は、今の8時間である必要はなくなり、ようやく検討され始めた週休3日どころか、週に3日も働けば済む業容が現出する可能性だってあるのだ。

 都庁が、東京だけにしがみつくのではなく、世界の各地に散在し、24時間動き続け、高度の効率化を求める時代がやってくると考えておくべきではないだろうか。

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