エネルギー情勢を踏まえたHTTの推進

  • 写真提供:東京都

 弊紙では昨年12月から4回にわたり、コロナ禍を乗り越えて開催された東京2020大会が遺したレガシーに焦点を当てた企画「東京2020大会を振り返る」を掲載、大会を支えたボランティアの活動、パラスポーツの魅力発信、新たなスポーツ施設の戦略的活用などを紹介してきた。東京都はこうした大会のレガシーを、今後、都市のレガシーとして発展させるため、本年2月に「『未来の東京』戦略 version up 2022」を策定、持続可能な都市の実現に向け取り組んでいくとしている。そこで、今月から新たに「2020大会レガシー・その先へ」と題し、具体的にどのようなプロジェクトを推進していくのかを紹介していく。第1回は夏に向けてひっ迫が懸念される電力需要への対応として都民に呼びかけている「HTT」の概要について取り上げる。 一方で、この大会は、新型コロナウイルス感染症の世界的な広がりを受け、史上初の1年の延期、無観客、という困難な状況で開催された大会でもあった。全ての人々にとって、安全・安心な大会を成功させた関係者の努力は、想像に難くない。この歴史に残る大会で、東京は何をし、何を得たのだろうか。

HTTの推進を呼びかける小池知事(写真提供:東京都)

厳しいエネルギー情勢

 ウクライナ情勢の影響により、政府はロシア産石炭の輸入禁止を発表するなど、エネルギーをめぐる厳しい世界情勢は長期化の恐れがあり、首都圏の電力の安定供給に支障をきたすことが懸念されている。

 また、去る3月22日、都内に電力需給逼迫警報が発令された際には、都民・事業者の協力により当面の需給バランスは緩和されたが、福島県沖地震による発電所の停止等の影響も継続している。

 国からは今夏、今冬における電力需給についての厳しい見通しが示されるなど、電力需給が一層ひっ迫する可能性が指摘されている。

 東京都は、この問題を乗り切るため、これまでの脱炭素化に向けた取組を一層加速させるとともに、都自らの率先行動を進めながら、都民・企業等と一体となって電力を「(H)減らす・(T)創る・(T)蓄める」の取組を強力に推進している。

 首都圏における電力需給の問題は、都民・事業者の生活・業務に直結することから、脱炭素化の視点も踏まえつつ、確実に電力の安定供給を確保していくことが求められる。

〈家庭でできるHTTの取組〉

HTT(減らす・創る・蓄める)をキーワードに
地球にやさしく健康で快適な暮らしへ

 気候危機が一層深刻化する中、世界は、2050年CO2排出実質ゼロという共通のゴールに向けて、急速に歩みを進めている。

 東京都は、2030年までに温室効果ガス排出量を50%削減(2000年比)する、「カーボンハーフ」を掲げ、取組を加速させている。

 特に、家庭部門のエネルギー消費量は、2019年度時点で2000年度比2・2%増加していることから、一層の取組強化が必要である。

 東京都は、こうした脱炭素化に向けた行動は、中長期的にエネルギーの安定確保にも資するとして、HTT〈(H)減らす(T)創る(T)蓄める〉をキーワードに、都民、事業者のエネルギー利用に係る行動変容が加速するよう、家庭向けに「Tokyo Cool Home」、事業者向けに「Tokyo Cool Biz」のキャンペーンを展開している。

〈家庭でできるHTTの取組〉※補助額等は5月18日時点のものです

〈家庭でできるHTTの取組〉※補助額等は5月18日時点のものです

HTTの取組を補助事業で支援

 東京都はゼロエミッション東京の実現に向け、令和4年度予算で前年比722億円の大幅増となる971億円を措置し、HTTの取組を支援する様々な補助事業を展開している。

 高断熱で省エネ性能の高い東京ゼロエミ住宅や断熱・太陽光住宅は、気候危機に対応するだけでなく、健康で快適な暮らしや都市のレジリエンス向上にも資する。

 東京都は、充実した補助事業を活用し、光熱水費の削減にも繋がる住宅や省エネ・再エネ機器、ゼロエミッション・ビークル(ZEV)の普及を強力に拡大していく方針だ。

〈家庭でできるHTTの取組〉※補助額等は5月18日時点のものです

〈家庭でできるHTTの取組〉※補助額等は5月18日時点のものです

〈家庭でできるHTTの取組〉※補助額等は5月18日時点のものです

あらゆる主体とともに取組促進を

 今夏・今冬の電力危機を乗り切るためには、国や都などの行政、電力の供給事業者、また電力の需要家としての都民、事業者などあらゆる主体が危機感を共有し、ともに取組を推進することが求められる。

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