“自分らしく”を、この街で。
「東京都パートナーシップ宣誓制度」開始!

  • 写真提供:東京都

 東京2020大会は、「多様性と調和」を大会ビジョンのうちの一つに掲げて開催された。ホストシティである都は、オリンピック憲章を遵守して、そこにうたわれている人権尊重の理念を実現するため、2018年に人権尊重条例を制定し、人権啓発などの取組を進めてきた。  そして、2022年11月からは、多様な性への理解を深め、性的マイノリティの方々が暮らしやすい環境づくりにつなげるため、「東京都パートナーシップ宣誓制度」を開始した。  多様な人が共に支え合う環境づくりを推進し、一人ひとりがお互いを認め合い、尊重し合う「インクルーシブシティ東京」の実現に向けた都の取組を紹介する。 東京都は、育休の「休む」というイメージを払拭し、後ろめたさを感じることなく取得できる環境づくりを進めるため、育休の愛称「育業」を6月に発表した。都のアンケートでは、7割を超える人がこの「育業」を支持しているという。さらに、9月末には「育業」のロゴマークを発表し、企業・国など様々な主体と連携して育業を推進するキャンペーンを展開することで、育業しやすい社会への意識改革を進めていく。

受理証明書イメージ

東京2020大会のビジョン「多様性と調和」

 この基本コンセプトは、人種、肌の色、性別、性的指向、言語、宗教、政治、障害の有無など、あらゆる違いを肯定し、自然に受け入れ、互いに認め合うことで社会は進歩するという考えのもと、多様性と調和の重要性を改めて認識し、共生社会をはぐくむ契機となるような大会とするという想いが込められている。

 東京は、世界で初めて2回目の夏季パラリンピックを開催する都市となった。パラリンピアンたちの姿は、一人ひとりの違いこそが大いなる輝きを生み、どんな困難をも乗り越える力となることを示してくれた。

 また、東京2020大会では、自身が性的マイノリティであることを明らかにした選手の参加が200名を超え史上最多となるなど、多様性が尊重される大会となった。

 大会のこうした成果をレガシーとして発展させ、いかなる差別や障壁もない、多様性溢れる社会へと繋げていくことが重要になっている。

人権尊重条例の制定

  国際オリンピック委員会が定める「オリンピック憲章」では、いかなる種類の差別も許されないという人権尊重の理念がうたわれている。

 都は、大会開催を契機として、そうした理念が広く都民等に一層浸透した都市となることを目的とし、2018年に「東京都オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念の実現を目指す条例」(以下「人権尊重条例」という)を制定した。

 この条例では、①オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念の実現、②多様な性の理解の推進、③本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進について定めている。

「東京都パートナーシップ宣誓制度」の創設

 都は、人権尊重条例等に基づき、性自認及び性的指向を理由とする不当な差別の解消や啓発等の推進を図ってきた。

 そして、多様な性に関する都民の理解を推進するとともに、パートナーシップ関係に係る生活上の不便の軽減など、当事者が暮らしやすい環境づくりにつなげるため、新たに「東京都パートナーシップ宣誓制度」を創設し、今年11月から開始した。

 この制度は、双方又はいずれか一方が性的マイノリティであるお二人から、人生のパートナーとして継続的に協力し合うことを約す「パートナーシップ関係」にあることを宣誓・届出してもらい、受理証明書を交付する制度である。

 受理証明書にはお二人の氏名や生年月日とともに、お二人から届出があったことを証し、交付日と東京都知事名が記載される。また希望に応じて、特記事項欄に通称名や子供の名前などの記載をすることも可能である。

都の制度の特徴

 全国の自治体でも同様の制度は広がっており、都内でも16区市(2022年10月末現在)が制度を導入している。そうした中、都の制度の特徴は、全国で初めて、届出から証明書の発行までをオンラインで完結できる点が挙げられ、意図しない形で性自認や性的指向を知られてしまう、アウティングへの対策を実施している。

 また、対象者要件の一つとして、近隣県からの通勤・通学者が多いという東京の実態を踏まえ、都内在住の方だけでなく、在勤又は在学の方も可能としている。

受理証明書の活用

 法律行為である婚姻とは異なり、パートナーシップの宣誓により法律上の効果を生じさせるものではないが、二人の生活上の困りごとの軽減など、暮らしやすい環境づくりにつなげていくため、受理証明書の様々な場面での活用が広がっていくことが期待される。

 都では、都民向け行政サービスで活用を図っており、例えば、都営住宅への入居申込等が新たにできるようになるなど、30を超える事業で活用が進められている。

 また、都内自治体と連携し、同様の制度を既に導入している16区市とは連携協定を結び、相互活用を図っている。また、制度未導入の都内自治体でも、都の受理証明書を活用した行政サービスの提供が図られている。

 加えて、民間事業者に向けても、性的マイノリティや制度への理解を深めてもらえるよう周知に取り組むとともに、社内の福利厚生や、顧客サービスへの活用について協力を呼び掛けている。

 活用されている各事業については、制度利用者の方々などへの情報提供として、総務局人権部のホームページに一覧で公開している。

 ※活用事業一覧はこちら
https://www.soumu.metro.tokyo.lg.jp/10jinken/page/partnership01.html

インクルーシブシティ東京の実現を目指して

 人口の5~10%が性的マイノリティに該当するという民間調査結果もあることから、誰もが日々の中で性的マイノリティの方々に接している可能性があり、一人ひとりがそのことを知り、意識し、理解や支援をしていくことで、性的マイノリティの方々が直面する様々な生きづらさを取り払い、多様性の輪が大きく広がっていくことにつながる。

 都は、都民や民間事業者の方に制度をわかりやすく紹介するためのハンドブックやリーフレットを作成したほか、東京動画にも制度の紹介動画を掲載するなどの取組を進め、多様な性への理解促進を図っている。

 都のパートナーシップ宣誓制度のキーメッセージは「“自分らしく”を、この街で。」。

 制度の導入を契機に、都民の皆様に多様な性への理解を深めてもらえるよう、そして、誰もが自分らしく生活し、互いに認め合う「インクルーシブシティ東京」の実現に向けて、取組を進めていく。

 ※制度のホームページはこちら
https://www.soumu.metro.tokyo.lg.jp/10jinken/sesaku/sonchou/partnership.html

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