世界屈指の繁華街にさらなる賑わいを
“好きを極める”歌舞伎町の新拠点
東急株式会社

  • 取材:種藤 潤

 新宿・歌舞伎町に完成した「東急歌舞伎町タワー」が、4月14日に正式に開業する(ホテルは5月19日開業)。実は新宿・歌舞伎町ともゆかりある東急グループが、国内最高峰のホテルやエンタメ施設を集結。周辺の道路整備や新世代の発掘育成まで行い、歌舞伎町を世界の“好きを極める”エンタメシティへと後押ししていく。

東急歌舞伎町タワーのブランドロゴ。外観モチーフである噴水の要素と、ピアノの鍵盤や音響機器のイコライザーといった、エンターテインメント性を内包している(写真:東急株式会社、株式会社東急レクリエーション)

高さ約225mのホテル×エンタメ複合施設 外観は「水」をモチーフに

 近年、新宿・歌舞伎町といえば、通称「ゴジラビル」と呼ばれる「新宿東宝ビル」がシンボルだったが、その西側の「シネシティ広場」を挟んだ向かいに、もうひとつのシンボルとなる超高層ビル「東急歌舞伎町タワー」が完成した。

 新宿エリアでは都庁に迫る約225mの高さ。地上48階、地下5階の構成で、敷地面積は約4600㎡、延べ床面積は約87400㎡にも及ぶ。

 タワー内は、18階から47階までがホテルで、上部にはラグジュアリーホテル、下部にはライフスタイルホテルが入居。その下の9・10階にはプレミアムな鑑賞環境を提供する映画館、さらに下の6~8階は、かつて歌舞伎町の娯楽のシンボルだった「新宿ミラノ座」の名前を継承する劇場、そして地上1~5階は体験型施設やエンタメフードホール、飲食店などを配し、地下1~4階は新宿エリア最大級のライブホールが入り、夜はナイトエンターテイメント施設へと変貌する。1階には空港連絡バスの乗降場もあり、地下3階には駐車場も備えている。

 これだけのホテルとエンターテインメントのコンプレックスで、かつハイクオリティーな施設が揃う場所は、都内はもちろん国内外でも見つけることが難しい。

 外観も高さだけでなく、そのデザインの個性的かつ繊細な美しさにも注目が集まる。モチーフにしたのは 「水」。頭頂部に水飛沫、下層部に波を模するなど変化をつけ、建物全体で水が天に吹き上げるイメージをり上げているという。このタワー周辺にはかつて「蟹川」が流れ、歌舞伎町には現在も水の神様の弁財天が祀ってある。そんな街の歴史も外観には込められている。

本タワーの前身となる「新宿ミラノ座」を有する「新宿東急文化会館(のちの「新宿TOKYU MILANO」)」(提供:東急レクリエーション)

新宿東急文化会館を開業 歌舞伎町の大衆娯楽の象徴に

  東急グループというと、東急線沿線を中心にしたビジネス展開のイメージが強いが、実は歴史的には、新宿・歌舞伎町とも縁が深い。

 新宿はその名の通り「新しい宿場町」としてできた場所。元禄10年、当時としても珍しい民間主導の形で甲州街道の新しい宿場町「内藤新宿」が誕生し、明治、大正、昭和と後発ながら東京屈指の繁華街として発展していった。

 第二次世界大戦の空襲により新宿東部一帯は焼け野原になるも、戦後再び繁華街として復活させるべく、官民一体となって演劇、映画、ダンスホールの誘致を計画。その一環として「歌舞伎座」の建設も予定され、結果実現はしなかったものの、それが今の「歌舞伎町」の由来であることは知る人も多いだろう。

 この誘致計画のアドバイスを行ったのが、東急グループの事実上の創立者である五島慶太氏であった。その縁で歌舞伎町の土地を譲り受け、アイススケート場建設を皮切りに、高度経済成長期を見据え、1956年に映画館が入居する「新宿東急文化会館」を開業。特に、外国映画を上映するロードショー館「新宿ミラノ座」が人気を博し、1970年ごろには年間60万人超の動員数を誇る人気施設に。

その後名称を「新宿TOKYU MILANO」へと変更、現在の「新宿東宝ビル」の前身の「コマ劇場」と並ぶ、歌舞伎町の大衆娯楽のシンボル的存在として親しまれてきた。

 新宿TOKYU MILANOは2014年に閉館。一時は暫定利用としてVR体験型エンタメ施設「VR ZONESHINJUKU」となったが、2019年よりその跡地エリアで「東急歌舞伎町タワー」建設計画がスタート。4年の歳月をかけて完成させた。

東急歌舞伎町タワーの外観(提供:東急、東急レクリエーション)

タワー1階には屋外ビジョン「KABUKICHO TOWER STAGE」を設置し、新進気鋭の映像作家の作品を集めた「Kabukicho Creator’s Gallery Project」も実施。このような新世代クリエイターの支援から育成も行う(提供:東急、東急レクリエーション)

”好きを極める”人々が求める 歌舞伎町でしか得られない感動を

  タワーの開発を手がけてきた東急株式会社執行役員新宿プロジェクト企画開発室長の木村知郎氏は、歌舞伎町はもちろん、新宿全体がここ数年で大きく進化していくと語る。

 「新宿は毎日350万人が行き来する街で、この規模は世界を見渡しても存在しません。一方で歌舞伎町という繁華街も歴史、個性、多様性、あらゆる点で世界屈指の存在感を放ちます。ただ、これからの新宿はさらに国内外から様々な方々が訪れる可能性があり、特に海外の多くの人々にとっては、昼夜安心して楽しめる複合エンタメ施設が必要になってくると推測できます。その役割をこのタワーが担っていければと思います」

 こうした観点から、新宿外から訪れる人々のアクセス環境の改善にも着手。これまで狭く大型車両が通りにくく、暗いイメージのあった西武新宿駅前通りを歩道を含めて整備。羽田・成田からのエアポートリムジンがダイレクトに発着できる停留所も設置し、インバウンドの観光客だけでなく周辺地区~西武新宿線沿線の人々の空港への利便性も向上した。

 また、企画や業界の垣根を超えたコラボレーションを取り入れ、この場でしか感じられない希少性の高いエンタメコンテンツの提供に挑戦。さらに、新人クリエイターの公開コンテストや路上ライブを行うなど、人材発掘から育成までも積極的に行うという。

 「このタワーのターゲットは、年齢性別問わず“好きを極める”方々です。デジタル社会でどこにいてもある程度のコンテンツが手に入れられる今こそ、この空間でしか観たり聴いたり感じたりできない“好きを極める”コンテンツが重要で、そうしたリアルな価値に敏感な人々は、年齢問わず共感していただき、その姿勢を温かく支援してくれると思います」

 新宿・歌舞伎町の歴史と文化を振り返ってみると、この街自体が東京の“好きを極める”象徴であった。その街の変化とともに、タワーがどんな発展を遂げ、新たな刺激を与えていくのか、木村氏自身が誰よりも楽しみにしているようだ。

 「東急は昨年100周年を迎えましたが、その節目に、あえて本拠地の渋谷ではなく、新宿・歌舞伎町から東京の街づくりに関われることは、とてもエキサイティングなことです。コンテンツを提供する側として、常に挑戦を続けていきたいと思います」

東急株式会社執行役員・新宿プロジェクト企画開発室長の木村知郎(きむら ともお)氏。同タワーのエンタメ施設の企画運営を行う株式会社TSTエンタテイメント取締役社長も兼務する

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