港湾局長 松川桂子氏

  • 聞き手:平田 邦彦

東京都の各局が行う事業を局長自らが紹介する「局長に聞く」。今回は港湾局長の松川桂子氏。第9次改訂港湾計画や島しょの港湾整備、DXの取組などについてお話を伺った。

国際競争力の高い港湾に

港湾局長 松川桂子氏

島しょに外国クルーズ船を誘致

—東京港第9次改訂港湾計画の内容は。

 産業構造の変化等によるアジア地域との取扱貨物量の増加や世界的な船舶の大型化の進展、物流の2024年問題など、東京港を取り巻く環境はこれまで以上に大きく変化しています。また、少子高齢化等による労働力の不足や、AI・IoT等の情報通信技術の進化など、社会情勢も変化しており、物流を効率化し生産性の高い港を実現することが求められています。

 これらの情勢の変化に対応するため、概ね10年先の取扱貨物量、港湾施設の規模及び配置等を定める「東京港第9次改訂港湾計画」を策定し、9月11日に開催された第101回東京都港湾審議会において諮問し、答申を受けました。

 ユーザーに選ばれ国際競争力が高く使いやすい港に進化し続けるため、新海面処分場コンテナふ頭計画を、隣接する中央防波堤外側コンテナふ頭と併せて国内最大級の外貿コンテナふ頭とするとともに、モーダルシフトや内航船の大型化等に対応するため、中央防波堤内側内貿ユニットロードふ頭を機能拡充します。

 また、災害時にも物流機能を維持するため、耐震強化岸壁の拡充や次世代エネルギー等を活用したカーボンニュートラルの実現に向けた取組の推進、クルーズ客船等の受入機能の確保や官民連携による船着場の拡充を図ります。

 今後、国の交通政策審議会港湾分科会を経て、今年度中を目途に公示する予定です。

—小池知事は島しょ振興に積極的です。

 島しょ地域への外国籍クルーズ客船の寄港誘致に積極的に取り組んでいます。今年6月にドイツのクルーズ船が大島に初寄港した際には、御神火太鼓など地域の文化を活かした演出で盛大におもてなしを実施しました。

 また、海外の富裕層が利用するといわれているスーパーヨットの受入に向けた取組も推進しています。島の経済の活性化、東京の島の魅力の発信に寄与できるよう受入態勢等の検討を進めます。

 伊豆諸島および小笠原諸島では、島民生活の安定と向上、産業の活性化、防災力の強化に向けた取組を実施します。

東京港の脱炭素化を推進

—港湾局の環境対策、DXの取組は。

 東京港においても脱炭素化の取組を進めることは重要です。

 取組を戦略的に推進するため、港湾関係事業者や脱炭素化に知見を有する企業等からなる「東京港カーボンニュートラルポート検討会」を設置し、具体的な取組や目標の実現に向けたロードマップを定めた「東京港カーボンニュートラルポート(CNP)形成計画」を本年3月に策定しました。

 また、荷役機械等の使用エネルギーの脱炭素化を図ることは大きな課題です。特に軽油を燃料として使用するRTGは、コンテナふ頭におけるCO2の大きな排出源であり、民間事業者がFC換装型RTGを導入する費用の1/2を都が補助し、水素活用に向けた取組を促進します。

—防災対策でもDXを活用していますね。

 防災対策にもDXを活用し、防災機能及び都民へのQOSの向上を図っています。予想される浸水の深さや浸水の継続時間を住所や地図からピンポイントに検索できる『高潮リスク検索サービス』や、潮位や水門の開閉情報などを『高潮防災総合情報システム』によりリアルタイムでウェブ公開しています。海面のライブカメラ映像はYouTube「東京高潮防災チャンネル」でライブ配信しています。また、AI技術を用いた水位変動予測に関する取組を推進し、水門外側の水位の予測結果を実際の水防活動へ活用していきます。

 災害発生時に迅速かつ安全に施設の被災状況を把握するため、ドローンを活用した施設点検を行う取組を推進しています。今年度は目視内の手動操作によるドローンの災害時点検を行うとともに、将来的な遠隔点検の実施に向けて調査検討を進めます。

 伊豆諸島および小笠原諸島では、近年の気候変動に伴う災害の激甚化から、島しょ地域に住む都民の生命、財産を守るため、衛星やドローン、ライブカメラ等により速やかに現地状況のデータをインターネット上に集約します。関係者にリアルタイムで展開・共有し、災害復旧の作業の効率化を図ります。

—臨海副都心では、アートによるまちづくりが進んでいます。

 令和元年度よりARTBAY TOKYOというアートプロジェクトに取り組んでいます。今年度は2回目となる「ARTBAY TOKYOアートフェスティバル2023」を9月15日から24日まで10日間、東京ビッグサイト近くの「石と光の広場」や日本科学未来館等、臨海副都心内の複数会場で開催します。「CIRCULATIONまちもひともせかいもめぐる」をテーマに、臨海副都心らしいコンテンツを企画します。

 秋から冬にかけて、臨海副都心のロケーションを生かした様々なイベントを予定しています。今後も魅力的なコンテンツを提供し、一層の賑わい創出を図ります。

—局長の趣味は。

 美味しいスイーツを買いに行くことです。ホテルのスイーツを行列に並んで買うこともありますよ。

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