下水道局長 佐々木健氏

  • 聞き手:平田 邦彦

東京都の各局が行う事業を局長自らが紹介する「局長に聞く」。今回は下水道局長の佐々木健氏。能登半島地震での被災地支援、「経営計画2021」の進捗状況、脱炭素化への取組などについてお話を伺った。

下水道事業は未来への投資

下水道局長 佐々木健氏

気候変動に対応し浸水対策

—下水道事業への思いを聞かせてください。

 東京の下水道は、都民生活と東京の都市活動を支える重要なインフラです。明治17年の神田下水以来、先人が長い年月をかけて知恵と努力を結集し苦労して築き上げた、その成果の基に現在の東京が成り立っています。現在我々が進めている施策・事業も、目の前の対応だけではなく、50年・100年先の未来への投資でもあるという視点を持ち、職務に取り組むことを大切にしています。

—能登半島地震に伴い、現地では大きな被害が出ています。

 改めて、「震災は時を選ばず、突然起きること」や「自然の猛威の恐ろしさ」を感じ、「備えよ常に」という心構えの大切さを再認識しました。今回の地震では、能登地方の下水道施設において多大な被害が生じ、発災以降、当局も応援職員を派遣し、下水道施設の早期復旧に向け全力を尽くしています。

 しかしながら、半島という地形的要因や、地震による土砂崩れなどにより、被災地へのアクセス道路が限られていることの他、雪などの影響もあり、現地ではこれまでにない厳しい状況下での支援活動となっているのが現状です。

 一刻も早く被災地の皆様の安全・安心な住環境を整えるため、今後も引き続き、関係機関と連携し、現地の方々に寄り添ったサポートをしていきます。

—「経営計画2021」の進捗状況は。

 令和6年度は5年間の計画期間の4年目に入り、目標達成に向けた仕上げの時期として重要な局面に突入します。

 計画に掲げた主要施策のうち、事業費の大半を再構築事業が占めています。枝線の再構築は区部を整備年代により3つのエリアに分けています。優先的に整備している第一期再構築エリアは令和11年度に完了する見込みであるため、現在、第二期再構築エリアの着手に向けた検討を進めています。

 震災対策では、「TOKYO強靭化プロジェクト」に掲げた施策の充実を図り、下水道機能や交通機能の確保を一層推進するため、これまでの下水道管とマンホールの接続部の耐震化や液状化による人孔の浮上抑制対策を、震災後に人が集まる施設などで対象を拡大して進めます。

 合流式下水道の改善では、雨天時に合流式下水道から河川や海などへ放流される汚濁負荷量を削減し、良好な水環境を創出するため、施行令対応に必要となる、降雨初期の特に汚れた下水を貯留する施設170万㎡の整備を今年度末までに完了させます。

—豪雨対策基本方針が改定されました。

 昨年末、関係各局と連携して「東京都豪雨対策基本方針」を改定しました。都市の強靭化に向け、気候変動に伴う1・1倍の降雨量に対応した浸水対策を推進します。

 下水道局としては、区部では「下水道浸水対策計画2022」で定めた方針を基本に、対策の加速化を図ります。

 多摩部では、雨水排除を担う市町村の支援を強化します。今年度から新たに開始した強靭化都費補助により財政支援を充実し、市町村を積極的に後押しします。

下水再生りんの肥料化を推進

—昨年「アースプラン2023」が公表されました。脱炭素化への取組は。

 下水道事業は、水処理や汚泥処理の過程で多くの温室効果ガスを排出するので、局として温暖化防止に率先して取り組む責務があります。

 東京都では2050年ゼロエミッションに向けて、都内の温室効果ガス排出量を2030年までに50%削減する「カーボンハーフ」を目標に掲げています。

 こうした中、当局では令和5年3月に「アースプラン2023」を策定し、下水道事業の特性を踏まえて、地球温暖化対策とエネルギー対策を一体的に推進することとしました。2030年カーボンハーフの実現に向け、これまでの取組を加速するとともに、新たに技術開発した設備の導入や再生可能エネルギーの更なる活用などの取組を強化します。

 さらに、2050年に向けては、ペロブスカイト太陽電池やネガティブエミッション技術など、革新的技術の開発・導入を推進し、社会全体のゼロエミッションの実現に貢献します。

—下水再生りんの肥料利用の今後の取組は。

 肥料の原料は特定の地域に偏在しており、そのほとんどを輸入に依存しています。また、ウクライナ侵攻など国際的な動向の影響を受けやすいという食料安全保障上の課題などを踏まえると、下水汚泥を肥料利用することの意義は大きいと考えます。このため、国土交通省のB-DASHプロジェクトを活用し、汚泥中に含まれるりんを有効に利用するため、肥料化技術の開発を進めます。

 さらに、昨年には全国農業協同組合連合会(JA全農)と連携協定を締結し、全国展開を視野に入れた広域的な下水再生りんの肥料利用に向け一歩を踏み出しました。砂町水再生センターでは、脱水分離液からりんを回収する設備が運転開始したところです。

—最後に局長の趣味は。

 もともとスポーツが好きなので、昔は野球をしたり、息子がやっていたサッカーの少年クラブのコーチをしました。最近は激しい運動は避けて、できるだけ歩くようにしています。山や自然の中を歩くハイキングが好きで、週末には景色や地形を楽しみながらのんびり歩いてリフレッシュしています。

情報をお寄せください

NEWS TOKYOでは、あなたの街のイベントや情報を募集しております。お気軽に編集部宛リリースをお送りください。皆様からの情報をお待ちしております。