便器の和洋改修工事

株式会社 LIXIL

  • 取材:種藤 潤

和式便器から洋式便器への改修のイメージ。改修に伴い、明るく清潔なトイレ空間へと変化していることがわかる(提供:株式会社 LIXIL)

 近年、公共施設のトイレの洋式化が進んでいる。和式から洋式に改修する場合、工期が長く、また工事規模も大きくなるのが常識だったが、同社が作り出した独自の2つの工法を用いることで、短期間でコンパクトな改修工事が可能となる。従来は難しいとされていた状況にも対応でき、洋式化をさらに推し進める。

公立学校のトイレの洋式化が急ピッチで進められている

 かつて公共施設のトイレといえば、和式便器が中心であったが、近年は自宅で和式便器を使用したことのない若い世代や、かがむのが辛い高齢者、さらには和式便器に慣れない外国人への配慮もあり、公共施設のトイレの洋式化が進んでいる。

 東京都も「ダイバーシティの実現に向けた取組」として、洋式化を推し進めているが、その中で洋式化が遅れているのが、公立の小中学校だ。

 2016年に文部科学省が行った調査では、全国の学校に設置されている全便器のうち、和式便器が6割近くを占める。一方で、学校設置者(教育委員会)の8割以上が和式よりも洋式を多く設置する意向があることがわかった。

 この調査結果がきっかけとなったのか、ここ2年で学校内のトイレの洋式化が増加しているという。同社で便器の洋式化推進を担当するトイレ・洗面事業部の前田一樹さんも、その関心の高さを実感しているそうだ。

 学校は、以前は耐震化工事が優先されていましたが、それがひと段落したこともあり、洋式化に着手し始めたと考えられます。特に東京は、2020年に向けて公共施設の洋式化に力を入れていますから、学校を中心としたトイレ洋式化のニーズは、さらに高まると予想しています。

便器の和洋改修工法をはじめ、同社のトイレ関連業務を担当する、トイレ・洗面事業部の前田一樹さん

5日間工期を短縮。階下からの工事も不要

 学校のトイレの洋式化は、ほとんどが和式便器から洋式便器への改修だ。一般的な工事では、便器ごとに給水・汚水管の撤去と移設を行わなければならず、しかも階下から穴を開ける必要がある。空いた部分などをコンクリートで養生する期間も含めると、着工から完成までの工期はおよそ7日間だという。

 「老朽化した建物全体を改築したり、多数の便器をまとめて改修するなど、規模が大きく期間も長い工事であれば、この工法でも問題ないと思います。しかし、建物を維持しながら便器を個別に洋式化したい場合などは、長期間階下が使用できないこともあり、対応が難しいこともありました」(前田さん)

 そのような状況に対処するために考案されたのが、同社の「和洋改修工法」である。

 「弊社の工法には『ネット工法』と『プレート工法』の2種類あり、どちらも階下から穴を開けずに、既存の給水・汚水管を活用して洋式便器を設置します。そのため、階下に影響なく工事ができますから、工期は2日間で済みます。短期間の工事が求められる場面で採用していただくことが多いです」(前田さん)

床の状態に応じて2つの工法から選択

 『ネット工法』は、和式便器の上部をカットし、周囲の床を厚さ40mm削り、既存の汚水管に洋式便器用の汚水管を接続できるように調整し、その上から削った床部を埋め戻し、フラットな床の状態にして、洋式便器を設置する工法だ。

 そして、『プレート工法』は、和式便器の上部をカット後、周囲の床は削らずに、既存の汚水管と洋式便器用の汚水管を接続、調整し、特殊床プレートを乗せて、その上から洋式便器を設置する。大きな違いは、床を削るか、乗せるかだ。

※以下の表は、従来の和式便器から洋式便器への改修工法と、同社が手がける「ネット工法」「プレート工法」の特徴を比較したもの。(株式会社 LIXILパンフレット図表より抜粋し作成)

従来工法 ネット工法 プレート工法
工事期間 モルタル養生含め7〜5日程度 最短2日間 最短2日間
階下からの作業 必要 不要 不要
階下の使用 不可能 可能 可能
天井の開口・復旧工事 必要 不要 不要
シンダー層のはつり工事 必要 必要 不要
騒音の発生 長時間発生 2時間程度発生 少ない
ほこりの発生 多い 中程度発生 少ない
廃材の発生 便器・コンクリートで約60kg 便器の一部・モルタルで約40kg 便器の一部で約15kg
床仕上げ フラット フラット 15mm以上上がる

 「『ネット工法』は床を削る工程があるため、和式便器の埋設状況が悪い床では難しく、工事時に騒音が出ますが、その分、床はフラットに仕上げることができます。一方、『プレート工法』はプレートを乗せるので、床が少し盛り上がってしまいますが、床を削らないので床の状態は関係なく、騒音も抑えられます。

 初めは『ネット工法』のみでしたが、床の状態に関係なくできる『プレート工法』が完成しましたので、どちらか選べるようになりました」(前田さん)

便器だけでなくトイレ空間全体を快適に

 これまでの公共のトイレは「3K」=「きたない」「くさい」「くらい」というイメージだったが、各地の洋式化された公共施設のトイレを見て感じるのは、むしろ明るく清潔ということだ。単なる便器の洋式化にとどまらず、トイレの空間全体の環境を改善する“リトイレ”につながっているのだ。

 特に「3K」の印象が強かった学校のトイレで、洋式化にともなう“リトイレ”が進めば、教育の現場にも好影響が出てくると、前田さんは言う。

 「かつて、学校のトイレはいじめの温床というイメージが強かったですが、“リトイレ”により明るくなり、子どもたちの新たなコミュニケーションの場にもなります。また、そのような空間は明るく清潔に保ちたいという気持ちが強まり、清掃をこまめにするなどの生活習慣への影響も考えられます。

 私自身、まだ子どもはいませんが、将来子どもができたときに預ける立場として、少しでも彼らの教育現場をよくしたい。そんな思いも込めて、和洋改修工事の提案をしています」

 トイレの洋式化は進んでいるものの、東京都内でもまだ対応が進んでいない地域が残っているそうだ。“リトイレ”のメリットへの理解が深まることで、多くの学校の洋式化が進むことを期待したい。

    

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