ビジネスの基本はお客様に喜んでいただくこと

  • インタビュー:津久井 美智江  撮影:宮田 知明

株式会社オープンドア 代表取締役社長 関根 大介さん

 スマートフォンやタブレットの普及に伴い、インターネットでホテルや飛行機、ツアーなどを予約するのは当たり前になっている。そこで注目されているのが、多くの商品を比較し、最安値を検索できる旅行比較サイトだ。いち早くそこに着目し、サービスを開始。世界で唯一のサービスで他の追随許さない株式会社オープンドア代表取締役社長、関根大介さんにお話をうかがった。

どこよりも最安値が見つかりやすい旅行比較サイトを開発

―今ではインターネットを通じてさまざまな物事が予約、購入できますが、比較サイトという考えは初めからおありだったのですか。

関根 家電メーカーに勤めていた時に、膨大な量の部品のカタログを見て、この情報をすべてデータベースに取り込んで、部品メーカーサイドは海外からでも自由にその情報を更新でき、使う側は自分たちに必要な、かつ条件にあう部品をタイムリーに検索することができる、そのようなコンピューターとネットワークを融合したサービスがあれば便利だろうと思ったのが比較サイトのアイディアのきっかけです。

 当時はインターネットという言葉が出始めた頃で、まだコンピューター通信と言われていた時代ですが、いずれそのようなコンピューターとネットワークを使った情報サービスが、部品に限らずあらゆる分野で主流になると考えたわけです。そして同時に新しい非常に大きな市場が生まれるだろうと。

 もし、自分が事業を興すのであれば、タイミング的にチャンスがあると思いました。

―なぜ旅行分野に?

関根 部品ですとあまりにも専門性が高く、大手部品メーカーが1社でも乗ってこないと使う側には意味がない。  そこまで完全性が求められない旅行分野で、一般消費者を相手にしてはどうかと考えました。私も旅行をするので消費者側にそのサービスのニーズがあることはわかっていましたので。

 そこで、情報を提供する旅行会社側にそのニーズがあるのかを確認するために家電メーカーを辞めて、1年間、旅行関係の会社に入っていろいろと調査をし、結果、旅行会社・旅行者双方にニーズがあると確信し、1997年にトラベルコという事業をもって会社を興しました。

—なぜトラベルコという名前にしたのですか。

関根 最初に比較した旅行商品が海外のパッケージツアーだったので、ビジネスというよりバケーションが中心なんですね。そうするとやはり女性が行き先や料金についても決定権を持っている場合が多い。そこで、まずかわいい旅好きの女の子のキャラクターを想定し、どうせならサイト名もその子の名前にするのが面白いのではないかと思い、「トラベルコちゃん」というサイト名にしたんです。

 今考えるとあまりにもそのまんまのネーミングですけどね。

 ただ、オープン当時はシステムが安定せず、検索時間がかかったり、エラーがでたりしたので、トラベルコちゃんには申し訳なかったのですが、よく代わりにユーザーに謝ってもらいました。

—トラベルコのいちばんの特徴というのはどういうところですか。

関根 一つはカバーしているカテゴリーが他のサイトと大きく違います。日本人が旅行するほぼすべての旅行商品、ホテル単体、航空券単体、パッケージツアー、最近出てきたダイナミックパッケージといってホテルと航空券を自由に組み合わせるパッケージツアー、オプショナルツアーなど、ここまでカバーしているサイトはうち以外にありません。

 もう一つは、うちで検索しうる旅行サイトの数は、おそらく世界最大レベルだということです。日本に限らず海外も含め700以上の旅行サイトと連携し、日本で見つかるであろうほぼすべての旅行商品がその検索対象になっています。

 これだけ圧倒的な商品数から検索できるので、それが格安旅行であろうと、豪華な旅行であろうと、同じ条件であれば、どこよりも最安値が見つかる可能性が高くなるわけです。

2016年2月、東証一部上場を果たす

インターネット会社といえどもアナログでないと囲えない市場がある

—トラベルコの他にギャラリージャパンというコンテンツがありますね。これはどういうものですか。

関根 日本の伝統工芸品を世界に向けて紹介するサイトです。日本が誇る伝統美のひとつを、日本だけでなく世界に向けて 発信するため、日本語と英語で展開しています。

 「公益社団法人 日本工芸会」のご協力により、人間国宝(重要無形文化財保持者)をはじめとする工芸作家が丹精込めて作り上げた優れた作品を、陶芸・染織・漆芸・金工・木竹工・人形・ガラス・七宝などのカテゴリごとに紹介するだけでなく、各作家の作風や経歴、カテゴリごとの主要な技法といった情報も提供しています。

 実際に作品を見てみると、日本の伝統工芸品は非常に質が高く、四季や自然など日本的な美意識を表現するすばらしい芸術品でもあります。

 現在日本には、海外から多くの観光客の方がいらっしゃり、その数は2020年には4000万人にもなるだろうといわれいてます。ギャラリージャパンはその方々を含め世界中の人に日本の伝統工芸品の素晴らしさを知ってもらい、それを生活の中で使ったり、あるいは芸術品として飾ったりしてもらうことを目的としています。

 海外に旅行に行ったときに色々な場所やシーンで日本の伝統工芸品が使われている、そんなことが早く実現すればいいなと思っています。

—旅行と工芸、一見離れているように見えて、実は関連しているのですね。

関根 そうですね。

 オープンドアという社名は、常に新しい分野の可能性を求めて、門戸を開き、挑戦し続けたいという私の強い想いから名づけました。

 旅行のコンテンツは、大きな市場がある中でシェアを取っていく事業ですが、工芸は市場自体が縮小している中で、市場自体を海外に向けて作れる。それを網羅的にやって、海外向けに発信すれば非常におもしろい事業になるなと思い、ギャラリージャパンを立ち上げたんです。

 事業の柱でもある「トラベルコ」はメディアでも数多く取り上げられ、ご利用いただいているお客様数や、ご掲載いただいている旅行会社様のプラン数ともに、日本最大級の旅行比較サイトとして、幅広く支持いただいております。

 私たちは、幅広い分野でインターネットビジネスを通じて、お客様のニーズに迅速にお応えし、お客様の求められる満足感を最大化することをモットーにしております。

 そのためには、常識や事業の領域にこだわることなく、常にベンチャー精神で新しい分野の可能性を求め、お客様や市場から№1と思っていただける事業の実現に向けて、挑戦し続けたいと思っています。

2名でスタートした会社が150名以上の会社に成長した

ビジネスはどの段階でも大きな壁がありそれを乗り越えなければならない

—海外にもトラベルコのような比較サイトはあるのですか。

関根 分野ごとには、あることはあります。ホテルの比較であったり、航空券の比較だったり。でも日本のトラベルコと同じように全部の比較というのは、まずないですね。日本のトラベルコで展開しているサービスは世界で唯一です。

—海外の人向けのトラベルコは作らないのですか。

関根 現在、英語版、中国語版、韓国語版のトラベルコは既にオープンしています。「Travelko」という名前で、日本をはじめ、世界中の航空券、ホテルの宿泊プランなどが、50以上の旅行サイトが販売する旅行商品から検索・比較することができます。

 各言語を話す旅行者に人気の高い日本の都市を選んで、通訳案内士などがおすすめするスポットの口コミ情報を掲載するなど、増加しつつあるインバウンド旅行者への満足度の高い旅行の提供にも努めています。

 日本のトラベルコと比べると扱っている商品のカテゴリーはまだ少ないですが、今後日本のトラベルコと同様に成長できる事業に育てていこうと考えています。

—いちばん苦労されたのはどんなことですか?

関根 あれがいちばんの苦労だったというのはパッとは思いつきませんね。最初の苦労と今の苦労は違いますが、どの段階でも常に大きな壁があり、それを乗り越えなければなりません。

 ビジネスは後ろを振り返らず、常に前を向いて、より大きなものを追っていくものなので、目の前の世界を手に入れようとすると、そこにはまた大きな壁が現れる。その繰返しだと思います。

—最後に仕事をするうえで一番大事にしていることは何ですか。

関根 何よりもお客様に喜んでもらう、これだけです。1997年4月の設立以来、順調に事業を拡大し、着実に成長を続けていますが、その根底は、徹底してお客様目線で考え抜き、決して妥協せずにクオリティを追及してきた結果であると考えています。

 もちろん、ビジネスにおいては我々だけではなく、すべての会社がそれを目指し、切磋琢磨しているわけなので、お客様に喜んでもらうというのは、実は非常に難しいことです。

 どれだけ我々が徹夜して頑張っても、我々以上にお客様のニーズをとらえた他社があれば、我々はお客様を喜ばせることができていないわけですから。

 なので、お客様に喜んでいただけるレベルを常に意識し、それを最速のスピードと最高のクオリティで実現していく、これが我々の最も大事にしていることであり、これが我々の未来を創っていくものと信じています。

 その上で、顧客満足№1を達成するというミッションのもと、旅行比較サイト「トラベルコ」の運営を軸に、今後も更なるサービスの拡大と企業価値の向上に努め、お客様の喜びと未来に向け、豊かな社会づくりに貢献したいと思っています。

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