「VERDENIA」をはじめとする街やオフィスの環境緑化事業

大和リース株式会社

  • 取材:種藤 潤
VERDENIA

大和リースは全国各地に「VERDENIA」のモデルルームを展開している。写真は東京本店(写真提供:大和リース)

 日本にある世界トップクラスの技術・技能。それを生み出すまでには、果たしてどんな苦心があったのだろうか。
 数年前までは緑が少なかった東京の都市部だが、オフィス内や建物周辺、壁面などが緑化された姿を見る機会が増えた。そうした街やオフィスの緑化を事業の一つとして手がけてきた大和リース株式会社は、緑化に加え、人間の「五感」に働きかける快適なオフィス空間「VERDENIA(ヴェルデニア)」の提案に力を入れている。

 百聞は一見に如かず。書き手としてこの言葉を使うのはいかがなものかと思うが、大和リース株式会社が提供する「VERDENIA(ヴェルデニア)」は、実際に訪れ、体感してみてこそ、その真価がわかる。

 大和リース東京本店内の「VERDENIA」に足を入れた瞬間、それまでのオフィス空間とは雰囲気が一変。青々とした植物がふんだんに配された空間には、ナチュラルな素材でアースカラーを基調としたカフェテーブルやソファ、一人がけのカウンターチェアなどが配され、仕切りは一切ない。

 広々とした一軒家のリビングにいるような気持ちになる。そこでは、社外の人と打ち合わせをしたり、ランチを食べたりと、社員はみなリラックスした様子で、それぞれの時間を過ごしていた。

 今回の取材は「VERDENIA」内で行ったが、居心地のよさはもちろんのこと、印象に残ったのは、不思議と周囲にいた他の社員の存在や話し声が、ほとんど気にならなかったことだ。

大和リース 大阪本店(写真提供:大和リース)

視る、聴く、触る、味わう、香る 快適さに加え交流も促進

 「いわゆるオフィスの会議室のように間仕切りがあっても、周囲が気になる時は気になります。むしろこのようにみんなが自然体でいられる場所の方が、周囲が気にならないものです。さらに仕切りがないことで、交流の場にもなり、部署間の心の壁を取り払ってくれる効果もあります。私も自分の仕事に集中する時は自分の机、コミュニケーションをする時は『VERDENIA』、と使い分けています」

 今回取材に応じてくれた、「VERDENIA」事業を推進する環境緑化事業部長の千田文二郎執行役員は、実体験を交えながら、「VERDENIA」のもたらす効果を話す。

「VERDENIA」の立ち上げから関わる、大和リース株式会社環境緑化事業部長の千田文二郎執行役員

 「VERDENIA」とは、「VERDE(イタリア語の「緑」)」+「NIA(ラテン語の「場」)」=「緑のある場所」というオリジナル用語だ。しかし、それは単に「場所の緑化」だけではなく、そこに滞在する人々の「五感」を通して、心地よく、快適に、コミュニケーションを促すよう綿密に設計されている。

 「VERDENIA」事業は、五感や感性を科学的に検証する「KANSEI Projects Committee(KPC)」とのコラボレーションにより、豊かな植栽を「視る」、森の自然音を「聴く」、木のぬくもりを「触る」、多彩な飲み物を「味わう」、上質なアロマを「香る」ことのできる要素を空間に配置している。

 実際に「VERDENIA」導入前後を比較、検証したところ、ストレスは約33%軽減。リラックス効果、快適さは増加。コミュニケーションも73%の人が促進されたと感じたとの結果が出ている。

GyroEye Holo

大和リース 千葉支店(写真提供:大和リース)

コンセプト提案から施工 メンテナンスまでワンストップ

 五感に働く5つの要素は、各分野を専門とするパートナー企業が担当。「視る」は大和リース、「聴く」は株式会社JVCケンウッド・公共産業システム、「触る」は飛騨産業株式会社、「味わう」は飲料メーカー、「香る」はAir Aroma Japan株式会社である。

 「特に『聴く』の要素との出会いは大きかったですね。JVCケンウッドさんの体験施設にお邪魔して森の自然の音を聴いた時、自分の心のざわつきが落ち着いていくのがわかりました。それまでは『視る』をメインに環境緑化事業を展開してきましたが、『聴く』との親和性は高いと感じ、他の五感も重要だと、『VERDENIA』の事業化へと繋がりました」(千田執行役員)

 各分野の専門技術が結集する「VERDENIA」だが、導入窓口は大和リースがワンストップで行う。「ヒアリング、基本構想」→「空間デザイン、設計」→「施工、製作」→「メンテナンス」とトータルでサポート。植物やコーヒーサーバー、アロマディフューザーの維持管理も同社が一括して請け負うので安心だ。

大和リース 名古屋支社(写真提供:大和リース)

心地よい空間が優秀な人材獲得の武器

 事業開始から約2年が経ち、全国のオフィスの交流スペースに加え、公共施設、病院、金融機関、福祉施設、図書館などに導入が広がっているという。

 働きやすいオフィス環境は、昨今の雇用の人材不足を考える場合、優秀な人材獲得の大きな武器にもなる。

 「きつい労働環境というイメージがある福祉や医療など人材不足の業界にとって、働きやすい空間があることは大きなメリットになるはずです」

 今後は行政関係のオフィスにも「VERDENIA」を取り入れてほしいと、千田執行役員は話す。

 「『VERDENIA』の交流促進効果が評価され、専門性の高い技術者が集い、新たなビジネスを創造する『イノベーションセンター』などでも導入されています。今、世の中で横の連携が最も必要なのは、行政機関だと私は思っています。実はすでにある自治体で導入に向け検討が進んでいます。ぜひ都内の自治体でも興味を持ってもらえると嬉しいです」

情報をお寄せください

NEWS TOKYOでは、あなたの街のイベントや情報を募集しております。お気軽に編集部宛リリースをお送りください。皆様からの情報をお待ちしております。