住宅政策本部長 榎本 雅人氏

  • 聞き手:平田 邦彦

 東京都の各局が行う事業を局長自らが紹介する「局長に聞く」。今回は住宅政策本部長の榎本雅人氏。都市整備局の住宅政策部門が独立し、今年4月に発足したこの本部、今後の取り組みなどについてお話を伺った。

多様化する住宅ニーズに対応

セーフティネットの機能が基本

—住宅政策本部は今年4月に発足しました。その狙いは。

 住宅政策本部が課題として掲げているのは、空き家対策やマンションの老朽化、セーフティーネットとしての住宅のあり方などです。

 住宅確保要配慮者として、高齢者、障害者、低額所得者など、自力で住宅を確保することが困難な方々があげられていますが、そうした方々にどのように住宅を供給するか、様々な施策をスピード感を持って機動的に実施していくことが重要です。

 住宅政策本部は、都市整備局の中の民間住宅部門と都営住宅部門の2つが独立して発足しました。そのことで施策の意思決定が、これまでよりスムーズになりました。

—住まいは衣替えと同じで、人生の様々なシーンで住宅も衣替えが必要だとの意見があります。

 以前、「住宅双六」という考え方がありましたが、ライフステージにおいて必要な住宅は変化するものだというもので、今の意見と同じですね。

 独身であれば民間賃貸でしょうが、結婚して子育て世帯となれば都営住宅も選択肢に入ります。その後、子供の成長や賃金収入が増えることで、都営住宅を離れ、自力で家を確保するようになります。

 都営住宅には、基本的には収入制限がありますので、現段階では若い単身者は原則として入居できません。

 一方、高齢者は年金だけの生活となります。こうした方は住宅確保要配慮者ということで民間住宅の確保が困難なケースもありますから、都営住宅で対応します。

 こうした基本は踏まえつつ、子育て世帯に手厚い施策を講じるための条例改正を第3回定例会に提案し可決されました。これまでは子育て世帯には10年間の期限を設けて入居を認めていました。条例改正後は下の子供が高校を卒業するまでは入居を可能にします。

 様々なニーズに応えることが都営住宅の使命となっています。都営住宅は低額所得者の方のためのセーフティーネットであるという基本をしっかり踏まえつつも、住宅に対するニーズに応えようとしているところです。

 子育て世帯のニーズに合わせるということでは、様々なタイプの間取りが求められています。例えば子供が増えたら、一部屋増やすことも可能な、そんな都営住宅も今後あり得るのかもしれません。

 また、働き方改革にともなう住宅のニーズの変化も予想されます。テレワークの推進が都営住宅にどのような影響を与えるのか、今後注視すべきことです。住宅政策は社会のニーズが反映される分野ですので、常にアンテナを張りながら進める必要があります。

空き家対策等が今後の課題

—「都心にはもう土地がない」と言われますが、高度利用を含めた都営住宅の敷地の有効活用はどうなっていますか。

 現在は都営住宅を高層化して土地を生み出す「創出用地」の施策を進めています。

 例えば北青山の都営住宅を建て替え、民間開発を誘導したまちづくりを進めています。高度利用することは敷地を生み出すという発想で今でも進めています。

—住宅政策の将来のあり方についてお考えはありますか。

 社会のあり方が大きく変わっている中、これまでと同じ考え方でというわけにはいきません。その意味では空き家対策でしょうか。国土交通省の調査によれば、都内には現在、約81万戸の空き家が存在しています。

 空き家率は10・6%となっています。おそらく今後、空き家は高齢化や核家族化の進展で増えるだろうと思われます。

 空き家の活用、空き家になる前にできることはないかなどを、今の段階から真剣に考える必要がありますね。

 このほか、マンション管理の届け出制度があります。古いマンションの管理がどのように行われているのか、管理状況に応じた助言や支援などにつなげるため、マンションの管理組合に届け出をお願いするものです。来年の4月からスタートしますが、これは国に先んじた施策なので、都がしっかりと取り組みます。

—今後の本部での人材育成は。

 今、若手を中心に、都市整備局と一緒に研修を行っています。テーマをあらかじめ決めていますが、その取り組みでプロ意識というか仕事のノウハウをしっかりと蓄積してほしいです。

 住宅政策本部は技術職が多いのです。技術は継承しないと培ったノウハウが失われてしまいますので、研修でしっかりと身につけてほしいですね。

 採用に関しては都庁全体で行いますが、我々としてはデジタルガバメントの推進に向けた人材育成が必要だと感じています。

 多様な人材を組織の中でいかに育成していくか、今後もしっかりと取り組んでいきます。都庁の職員の中には民間企業での職場経験を持つ者も増えてきています。そういう意味では即戦力になってくれますね。

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